雨降りの夕方
本当は、今日注文していたコレをやっと入手、というお話を書こうと思ったのですが、スミマセン。思うところあって全然別な話です。
「宮澤喜一・元首相が老衰のため死去、享年87」というニュースは、齢82を数える父を持つ私にとっても大きな衝撃でした。幸い父は健在で今も現役で働いていますが、歳と共に来る衰えは防ぎようがありませんし、寿命というものがあるのも頭では分かっていても、いざそういう場面に直面すると、自分の身内に置き換えて考えてしまいます。面識があったわけではありませんが、官僚として、政治家として、そして引退されてからも国のために最後まで働いた宮澤さんのご冥福をお祈りします。

人間の寿命、加齢から来る衰えなど、ぼんやりと考えていた金曜日の夕方。
「WFT-E2入荷しました〜」という連絡を受けていつものカメラ店に行ったときのこと。商品を受け取り、店の外に出ようとしたら杖をついた小柄な老人の姿が。
つい先日、ご子息に社長の座を譲ったお店の創業者(現・会長)でした。
自動ドアが開いて歩み寄ろうとしたとき、私はあることに気付きました。
お店の入り口は御影石になっていて歩道と段差があり、しかも雨で濡れているのです。

もしここで、会長が足を滑らせて転倒したら。
そしてもし、打ち所が悪かったら。
先日急逝した美人薄命のアーティストや、宮澤さんのことがふと、頭をよぎりました。

しかし、杖をつくようになってからも、銀座界隈のギャラリー巡りを一日も欠かしたことのない会長です。下手なことを言って、プライドを傷つけるようなことをしてもいけません。
結局、自動ドアが閉まらないように押さえて、会長が段差をゆっくりと登るのを見守ることにしました。幸い、会長に気付いた番頭のYさんが迎えに来てくださったので、なんとか無事、会長は店内に入ることができました。

店内で、事務所が移転したこと、そのご挨拶が遅くなったことを詫びると「ボクも社長じゃなくなっちゃったんだよ〜。名刺渡したっけ?」とおっしゃるので、会長名になってから初めて名刺を頂戴しました。

このお店は、会長が一代で築き上げたお店です。
私は丁稚時代からお世話になっているので、かれこれ20年以上お付き合いさせていただいていることになります。50年、お店を続けてこられた会長から見たらまだまだ若輩者の私ですが、それでも日頃からスタッフの皆様にいろいろと面倒を見ていただいていることに感謝すると共に、ご子息(不思議なことに、このご子息ともご縁があります)に社長を譲られたとはいえ、これからもお元気でいてほしいと思いました。

人間、いつまでも若くいたいと思うのは誰しも一緒だと思います。
しかし加齢、それと共にやってくる衰えを防ぐ手だてというのは限られています。
自分のまわりにいる人に対して、何ができるかを考えたところで「手をさしのべる」位しかできませんが、でもそういう気持ちとか、気配りだけは忘れずにいたいと思った雨降りの夕方でした。
【2007/06/30 02:00】 | DPstyle@daily | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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